仙骨神経刺激療法(SNM)(Sacral NueroModulation)
排尿に関連する仙骨神経へ持続的に電気刺激を与えることによって、過活動膀胱の症状の改善を図る治療法です。
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(低侵襲治療健康保険適用)
- SNMとはどんな治療ですか?
- SNMの治療の流れ
SNMとはどんな治療ですか?
SNMは「仙骨神経変調療法」のことです。会陰部や骨盤部を支配する仙骨神経に持続的に電気刺激を与えることによって、過活動膀胱の症状の改善を図る治療法です。日本でも2017年9月から健康保険が適用されました。SNMは低侵襲(身体への負担が少ない)でしっかりとした効果が得られる外科治療です。お尻の皮膚の下(皮下)に装置を植え込みます。
まずは試験刺激と言って、神経に電気刺激を与えるお試し期間をもうけたうえで、有効であると考えられる患者さんのみ、永続的な植え込み術を行います。機器を抜去すれば、ほぼ元の状態に戻ることができます。
また、2022年11月より条件付き全身MRI対応SNMシステムが導入され、特定の条件下で全身MRI検査を受けることができる様になりました。
- SNMの治療の流れ
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- 診察
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治療適応があるかどうか、診察(問診票)、検査(残尿測定など)で判断します。また排尿記録をつけていただき、現在の排尿の具合をチェックします。
- 治療の説明
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担当医師から治療の説明をさせていただき、治療を実施するかどうか決定します。
- リード(細い刺激電極)の挿入
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入院で行います。SNM(仙骨神経刺激療法)の効果を測定するために、臀部(お尻)の皮膚から仙骨神経の近くに刺激電極となる細いリードを挿入します。麻酔をかけて行います。手術時間約1時間。
- 試験刺激期間
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挿入したリードに体外から電流を流して刺激電流を流します。不快な症状がない程度に刺激調整を行います。刺激期間は3日~1.週間くらいで、実際に排尿記録やアンケートを用いて治療効果を判定します。
- 刺激装置の植込み
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ある程度の効果が期待できる方はリード線を電池に接続し、体内に埋め込むための手術を行います。手術は30分程度で局所麻酔で行います。もし、効果が認められない場合は、刺激装置の植込みは行わずリードを抜去します。試験刺激で効果がみとめられない患者さんには、本治療を実施することはできません。
- 経過観測
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埋め込み後の治療効果をみるために外来で経過観察を行います。
患者さんは、患者さん用のプログラマを用いて、ご自身で刺激のオン/オフや刺激強度の調整を行うことができます。
日常生活で注意する事項をお知らせするため、仙骨神経刺激療法手帳とカードをお渡しします。また必要な安全情報の提供を迅速に行うため、機器の製造販売元に埋め込み情報の登録を行います。
- SNMの合併症にはどのようなものがありますか?
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傷や機器の感染症の発生率が3%、電気刺激による違和感や疼痛が12%程度に生じると報告されています。埋め込み後は激しい運動は機械の損傷に繋がる恐れがあり控えていただきますが、通常の車の運転や適度の運動は問題ありません。
- 植込み部位に違和感や痛みを⽣じる場合があります。
- 体内に異物を植込むため、感染を起こすことがあります。
- 植込み機器の材料(チタン、シリコンなど)にアレルギー反応を起こす可能性があります
- 器械の植え込み後はジアテルミー療法(電気透熱療法)は施行出来ません。
- 空港などでの金属探知機に反応することがあります。
注意点
SNMはこれまで治療が難しかった難治性過活動膀胱の新しい治療として期待されています。
この治療に関し、ご相談がある患者さんはお気軽に外来担当医にお尋ねください。
