内視鏡手術について
「内視鏡手術」は「腹腔鏡手術」「体腔鏡手術」などの別名で呼ばれることがあります。
その理由は、厳密にいうと「腹腔」が腸管の収まっているスペース、「後腹膜腔」が腎や尿管が収まっている場所であり、それらをまとめて「体腔」と呼ぶことがあるためです。開腹手術に対して内視鏡および細径の器具を用いた手術は、一般的には腹腔鏡もしくはラパロと呼ばれています。
- 開腹手術と変わらぬ制がん効果
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最近では限局腎癌の根治手術について、内視鏡手術と開腹手術で制癌効果(癌をとりきる治療としての効果)に差がないことが確認されました。また、術後の回復が早く痛み止めの使用が少なくすみ、日常生活への復帰も早いことも報告されています。
- 当院での対象疾患
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副腎摘除術、根治的腎(尿管)摘除術、腎盂形成術、精索血管結紮術など
- 「泌尿器腹腔鏡技術認定医」が執刀します
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内視鏡手術は体にかかる負担が少なく大変有用な治療法です。しかしながら、従来の開腹手術とは違った手術における注意点も多くあります。そのため、学会では内視鏡手術の技術の標準化のため技術認定制度をもうけています。
当院では柿崎 秀宏、古野 剛史、橘田 岳也の3名が日本泌尿器科学会および日本泌尿器内視鏡学会の技術認定医を取得しています。安全的確に治療が行えるよう、内視鏡手術はすべて技術認定医が執刀しています。
内視鏡手術と泌尿器科
20年ほど前、創が小さく体の負担の少ない手術として「腹腔鏡手術」(内視鏡手術)が泌尿器科手術に導入されました。
当時としては革命的な手術法であり、当院でもいち早く腹腔鏡手術を取り入れて現在も多くの手術をおこなっています。
- 治療例: 腎尿管摘出手術
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当院では腎盂尿管腫瘍に対する体腔鏡手術が最多です。通常ポート(カメラや道具を通すための筒)を3本使い手術を行います。
病気の部分をきちんと取り除くことはもちろんですが、当院では手術時に拡大リンパ郭清(おおむねリンパ節を10個以上はとれる範囲)を体腔鏡下に行っています。最近、リンパ郭清を行うほうが治療成績が向上することが報告されていることをふまえてです。
尿管の処置および腎臓の摘出は下腹部(へその下)を5 ?7cm切開して行います。筋肉そのものを切断しない切開方法を用いて痛みの軽減に留意しています。
また、最後に傷を閉じる際には吸収糸(解けてなくなる手術用の糸)を用いて感染予防および傷がきれいに直るよう工夫しています。
筋肉を切断しない切開方法で痛みを最小限に軽減 -
赤、青、緑で示したような大きな傷から腎臓を摘出します。 -
ピンクで示した部分に穴を開け、緑で示した小さな傷(約4cm)から腎を取り出します。穴の数は場合により変わります。
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