WAVE治療

前立腺肥大症は前立腺が尿道を圧迫して尿が出にくくなる病気です。薬物治療で改善がない場合に手術をお勧めします。最も効果のある手術は電気メスやレーザーによる内視鏡手術ですが、全身の状態や高齢のため、麻酔や手術の負担が大きいと考えられる場合に、水蒸気治療のような短時間で行える先進的な低侵襲手術が適応になります。

すでに海外では広く行われており、治療成績は長期的にも良好です。射精機能に影響が極めて少ないため、欧米では比較的若い方にも積極的に行われています。日本では令和4年9月にようやく保険適応となり、当院もこれをいち早く導入しました。

治療は尿道から内視鏡を挿入し、前立腺の肥大した部分に針を刺し、高温の水蒸気を少量注入するもので、手術時間は約10分です。終了後は尿道から膀胱に管（尿道カテーテル）を留置します。入院は短期間で、手術の翌日に退院することも可能です。

熱エネルギーを受けた部分は手術直後から時間をかけて徐々に変化し、小さくなってゆきます。尿の出が良くなるのは個人差もありますが、当院でのこれまでの経験からはよい感触を持っており、今後、どんどん普及する治療のひとつと考えております。

院長 　飴田　要

WAVE治療（Water Vapor Energy Therapy：経尿道的水蒸気治療）は、前立腺肥大症（BPH）のための治療方法で、肥大した部分に水蒸気を注入し、水蒸気の熱を利用して前立腺を退縮させる低侵襲な治療方法です。

前立腺内に送り込まれる水蒸気は103℃ですが、体温で冷やされ水に戻ります。この時、発せられる熱エネルギーが肥大組織に影響し、細胞を壊します。壊死した細胞が1-3か月をかけて自然に体内に吸収されることで、BPHの症状を和らげます。

前立腺肥大症（BPH）は、加齢などによって肥大した前立腺が尿道を圧迫することにより、尿の出にくさや頻尿といった尿にかかわる様々な症状を引き起こす良性疾患です。
加齢によって増加するといわれており、40-50歳代の2％、そして60-70歳代の6-12%の方がBPHの症状を持っているといわれています。